ROVOはプログレ・バンドか?

前から気になっていたROVOのライヴに行って来た。ROVOという日本の“プログレッシヴな”バンドに興味を持つきっかけは、まず一昨年の秋に観たオルケスタ・ナッジ!ナッジ!(*詳しいライブ・レビューにトラックバック)の衝撃。リーダーの芳垣安洋の他、岡部洋一を含む“総勢11名の打楽器集団”だ。
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そして、ちょうどその頃によく聴いていた“アルゼンチン音響派”のセッション・アルバムを仕切った2人の日本人、勝井祐二と山本精一。この芳垣+岡部+勝井+山本の4人が在籍するROVOというバンドがあるという。さっそくアルバムを買ってみた。『NUOU』という、今のところ最新のアルバム。聴いた感じでは“フュージョン・バンドがトランスっぽいプログレを演奏していいる”という印象だった。TUTAYAで『CONDOR』というアルバムもレンタルした。こちらは、大雑把に例えるならクリムゾンの「トーキング・ドラム」拡張版。これらがライヴでどんな風に演奏されるのか、機会があったら観てたいと思っていた。
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クライアント様の好意でバックステージ・パスをもらって会場に潜入。実際のライブではCDよりも荒々しいプレイでロックなノリだった。アルバムとライヴの差は、ちょうどマイク・スターンのように、ライブでは燃え上がるような演奏なのにアルバムになるとすっきりと小ぎれいに整理されてしまっていたようだ。上に挙げた4人のメンバーの年齢は40代後半〜50代というベテラン・プレイヤーだが、観客の年齢層はたぶん一世代ほど下だろう。クラブに遊びに来ているような雰囲気で身体を揺すりながら2時間半以上パフォーマンスに熱狂的に酔っていた。地味なステージ演出が多いプログレ・バンドのライヴと違って、ROVOのステージはVJがオーディエンスを盛り上げるのに大いに役立っていた。個人的には、映像によってイメージを固定されているようで正直あまり好みではない。演奏者の動きや表情もよく見えない。しかし、この映像効果があってこその熱い“ノリ”なんだろう。たとえば、無名の40代のメンバーがVJなしで同じ演奏をしても同じように“若い”オーディエンスに熱狂的に受けるかどうかは疑問だ。レギュラーでVJを担当する迫田悠という人は、ジャケットのデザインも担当してるという事で、バンド・メンバーではないが、ちょうど初期クリムゾンでのピート・シンフィールド的な役割ですな。あの当時のクリムゾンやソフト・マシーンなど“ニュー・ロック”のコンサートは、昨夜のROVOのライヴのような熱いノリだったんだろうか。いずれにせよ、演奏自体は非常に高度でテクニカルで堪能出来た。ツイン・ドラムならではの“ギクシャク感”はあったが(ただし岡部洋一のセットにはバスドラはない)、フロントのギターとヴァイオリン、キーボードが渾然としながらも一体となってフレーズを徐々に変化させて行くので、ある意味分かりやすい曲進行だ。リズム・セクションの方がフロントよりも複雑というアレンジ。ただしリズムの“頭”とアクセントは、ベース・ラインと相まって“説明的”ともいえる程だ。このあたりも人気の秘密かも知れない。マニアックだけどキャッチーな要素もある。プレゼンテーションというかプロデュースの仕方が上手い。なんせROVOの公式サイトには「唯一無二のダンスミュージックバンド」とあるくらいだ。いったいファン層は、どんな人たちなんだろう。

野外ライヴで、時間がまだ早いのでVJの効果が発揮できていない。が、そのかわり演奏者の様子はよく見えます。

以下、ROVOのメンバーの経歴などを調べてみました。

勝井祐二(el-vl)
http://www.katsuiyuji.com/
1964年生
ボンデージ・フルーツ、渋さ知らズ、カルメンマキ and サラマンドラ等に参加。

山本精一(g)
http://www.japanimprov.com/syamamoto/syamamotoj/
1958年生
ボアダムス、想い出波止場、羅針盤、赤武士、PARA等に参加。

※勝井祐二と山本精一が参加したブエノス・アイレス・セッション
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Vol.#1『Chichipio』
Vol.#2『Izumi』

※ちなみに参加メンバーのフェルナンド・カブサッキというギタリストは、ロバート・フリップ主宰のギター・ワークショップでインストラクターもやっていた人。


芳垣安洋(ds,per)
http://y-yoshigaki.com/schedule.html
1959生
アルタード・ステイツ、モダン・チョキチョキズ、大友良英グラウンド・ゼロ、渋さ知らズ、菊地成孔デイト・コース・ペンタゴン・ロイヤル・ガーデン、オルケスタ・ナッジ!ナッジ!等に参加。
渋谷毅、板橋文夫、早坂沙知、COBA、ホッピー神山、カヒミ・カリィ、ジョン・ゾーン等のバックを務める。
また、蜷川幸雄「マクベス」などの音楽を担当。

岡部洋一(per,ds)
http://donna-oto.com/okabe/
1962年生
ボンデージ・フルーツ、ザ・スリル、オルケスタ・ナッジ!ナッジ!等に参加。
大貫妙子、向井繁春、小野リサ、溝口肇、角松敏生等のバックを務める。
※インタビュー
>>http://www.drumsize.com/2007/04/_8april2007.html
※芳垣安洋と岡部洋一が参加した「オルケスタ・ナッジ!ナッジ!」のアルバム
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『BATUKA!
『Rhythm CHANT』


益子樹(key)
http://www.youtube.com/watch?v=q5BTkZVnBuc
DUB SQUAD、ASLN等に参加。
スーパーカーなどのプロデューサーとしても活躍

原田仁(b)
http://spysee.jp/%E5%8E%9F%E7%94%B0%E4%BB%81/1104021/network/a/
デフォルメ、キックス等に参加。
ディジュリドゥ奏者としても海外でも活躍。
※ディジュリドゥ(Didgeridoo/Didjeridu)>>http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%B8%E3%83%A5%E3%83%AA%E3%83%89%E3%82%A5

迫田悠(VJ)
グラフィック・デザイナー、映像作家。
http://sakotaharuka.blog38.fc2.com/

※十数年前、ジャズ・バーのマスターに聴かされて衝撃を受けた『アルタード・ステイツ』(芳垣安洋が参加)。さっそく買って、知り合いにも貸して聴かせた。そのCDを貸した相手は、その後“行方知らズ”になって(´・ω・`)、もう聴けない…。アルバム再発を超希望!…と思ったらYouTubeに最近のライヴの模様が!まだ活動はしているのか。(アルバムではメンバー3人の他、ヴァイオリンの勝井氏をはじめ著名なゲストが参加。YouTubeの演奏よりもヘヴィで騒々しく、パーカッショニストの参加もあって音色的にも『太陽と戦慄』のようにハイ・エナジーだった記憶が…。)


b0183304_22402862.jpg『ROVO LIVE at 日比谷野音 2008.05.05 ~MDT FESTIVAL~』

公演後、このDVDを買いました。
整理された音だけより、映像があった方が面白い。
ちょっとハマりそうな気がして来た。
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by quampaney | 2010-05-10 22:42 | 音楽 / バンド | Comments(4)
Commented by ゲウゲY男 at 2010-05-12 22:06 x
こんばんは、

ROVOって スペースロックバンドとかじゃなかったでしたっけ?w

ダンスミュージックバンドといえばそうなのかもしれませんねぇ。
1曲10分とかだし、踊るにはいいかもしれないですね。

プログレとは 違うかなぁ・・・。

クリムゾン?U.K?ブラッフォード? う~ん 
Commented by quampaney at 2010-05-13 09:49
アホなタイトルですみませんでした(^_^;)
ゲウゲY男さん、コメントありがとうございます。
ジャンル名って便宜的なもので肩書きみたいなものですよね。“ハイパー・メディア・クリエイター”みたいに“自称”だったり。ROVOの場合「踊れる」というのが画期的なので自称ダンス・ミュージック(笑)。「プログレッシヴ・ロック」という肩書きで定着した音楽も元々は「アート・ロック」と呼ばれてましたし。でも「音楽性」を指す言葉ではないですよね。ジャズ・ロックからテクノまで何でもひっくるめる事が可能。レコード店でも、同じアルバムが置くコーナーによって売れ方が変わってくるというし。ROVOは、若い層を狙ったかわりに“いわゆる”プログレ全盛期の音楽を体験してきた中年層をあえて犠牲にしている感じがします。
Commented by 横槍すみませんが at 2012-01-16 06:03 x

つまり、Rovoは若者にウケたい為に、プログレを捨てたとでも?

元から、プログレってよりもミニマルだと思うんですが。

それに、確かにVJは必須かもしれないけど、全然、音だけでもいけますよ。


是非、Flage聴いてみて下さい。
Commented by quampaney at 2012-01-16 11:48
長期間放置のブログにコメントありがとうございます!
プログレを「捨てた」というより、ミニマル(トランス?)な音楽を
ダンス・ミュージックでコーティングしたように私は思えました。
だから、VJもコーティング要素の一部かな。
仰るように、あった方がベターだけど音だけのCDでも勿論成立してますよね。
記事にも書いた通り、個人的には「イメージを固定されるようで」VJは、ちょっと邪魔。
あと、これも上のコメントに書きましたが、ジャンル名の定義なんて元々曖昧です。
「プログレ」という名称は特に(笑)
クロノス・クァルテットを無理矢理「プログレだー\(^O^)/」と言うのも勝手でしょう(笑)
→http://ameblo.jp/mizki-mchi/entry-11101981629.html
(最近は、こっちで色々書いています)
ご推奨の『Flage』探してみます。ありがとうございました。