2010年を振り返って(今さらながら…)

年末年始の区切りだからといって、一年を振り返る記事とか新しい年の抱負などの記事を書くつもりはなかったのだけど、こうもブランクが空いてしまうと、ますます更新から遠退いてしまい、プレッシャーというより気持ちのモヤモヤが増すばかり。それでも一応、毎日ログインしては、低空飛行するようなアクセス状況や訪問者数を見て溜め息をついていた。ところが、年明けの1月7日と8日には突然PV(ページ・ビュー)が200以上に跳ね上がっていて、検索ワードには「千と千尋」「赤」といった単語がずらっと並んでいた。そう、テレビで『千と千尋』が放映されたおかげで以前、このDVDの色について書いた記事にアクセスが集中したようだ。それに安心してというか、またもや更新意欲が引っ込んでしまい、気が付けば1月も下旬になっている。ひとまず、昨年印象に残った音楽や映画なんかを思い出してみるとするか。

ある日、タワレコのワールド・ミュージックのコーナーで「カンドンベ・・・太鼓の王様・・・」などと書かれたPOPに目が留まった。民族楽器を叩いている(写真を加工した)絵をあしらった緑のジャケットに惹かれて衝動買い。
b0183304_22191573.jpg■ウーゴ・ファットルーソ・イ・レイ・タンボール
『プーロ・センティミエント』

2年ほど前によく聴いていたブラジルの宗教音楽「カンドンブレ」のアルバムみたいに“現地録音”的な土着サウンドを期待してプレイボタンを押して「ん?」。ピアノとヴォーカルが入った、リズミックではあるがモダンな音が飛び出した。思わずストップボタンを押してCDを取り出してレーベルを確認した。間違ってなかった(笑)。勘違いして、ブラジルのカンドンブレ(candomblé)ではなくウルグアイの伝統音楽カンドンベ(candombe)の集団と共演するマルチ・ミュージシャンのプロジェクトのアルバムを買ったのだった。しかし、これが大当たりで、複雑ながらタイトな太鼓のリズムとピアノのリフが心地良い。ウルグアイ音楽は初体験だったが、中南米ミュージシャンの“伝統を保ちつつ進化させる”姿勢と力量には、いつも感心させられる。
同じく、POPのコピーに惹かれて衝動買いしたキューバ出身のオマール・ソーサ率いるビッグ・バンドのアルバムも良かった。
b0183304_22211673.jpg■NDRビッグ・バンド
『セレモニー』

重厚で芳醇なラテンなのだが、ホーン群の響きはシャープとかホットというより柔らかくて暖かい。もちろんギル・エヴァンス〜マイルスのバンドとも違う。なぜかルース・チューブス(ビル・ブラッフォードのアースワークスに在籍したジャンゴ・ベイツ率いるビッグ・バンド)に似ていると思い、『オープン・レター』を久々に引っ張りだし、共によく聴いた。

あと、長年自分の手許から離れていたアルタード・ステーツの『モザイク』を中古でゲット!パワフルで凶暴ながら知的なアンサンブルは圧巻。日本が誇るプログレの重鎮による“戦慄”的名盤と再会できたのは嬉しかった。
b0183304_22223623.jpg■アルタード・ステーツ
『モザイク』

ファーストも入手したが、こちらはクリムゾンというよりビル・ラズウェル〜フレッド・フリス〜フレッド・メイハーのMassacre(マサカー)に近い感じだ。
b0183304_2225570.jpg■アルタード・ステーツ
『ALTERED STATES』

よく通ったTSUTAYAの「ポスト・ロック」コーナーに並んでいた知らないバンドも片っ端から興味で借りて、そのうち特に日本のtoeや、米国のBattlesのハイベルな演奏にブッ飛んだ。(オッサンにとっての)新世代プログレでもあり、いまだロックは健在だった。

toe


Battles


映画も、ヒッチコックやルビッチなどクラシック作品を中心に色々鑑賞したが、今一度チャップリンの初期短編を本腰を入れて観てみようと思い、キーストンでのデビュー作からファースト・ナショナル時代までの70本以上を全て観直した。さすが若いだけあって驚異的に切れのある運動能力や溢れんばかりの豊富で自由なアイデアに驚き呆れたが、それ以上に、時代を作っているという勢いが強烈なオーラを放っていた。数々の短編には、もちろん再発見も色々あったのだが、何本かの作品に登場する役者の一人ロイド・ベーコンが気になり、彼が監督したミュージカル『フットライト・パレード(1933年)』を観て驚愕した。1930年代のミュージカル映画って、こんなに凄かったのか!昔々に観た『ザッツ・エンターテイメント』にも、この映画のシーンが出てたはず。若かったからなのか、それともやっぱり断片では、その感動はなかなか伝わり切らないのだろうか。自分が今までに観たミュージカル映画の中ではダントツの存在になった。

先に書いた『千と千尋』でも自分の見る夢に近いイメージが登場するのだが、私にとっては『アメリ』というより『デリカテッセン』の監督、ジャン=ピエール・ジュネの『ロスト・チルドレン』を観ていてハッとした。まるで自分が夜中に見る夢の世界のようだ。悪夢の一つで、大勢の人達に責められる夢を色んな設定で見るのだが、この映画の中の「一つ目族の本部」の様子は、私が一方的な裁判を受ける場所の一つとそっくりで、まさにこのシーンのような感じだ。これからも、無性に観たくなる時があるかも知れない。



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寅さんシリーズなど、気楽に楽しみたいものを考えていて、突然ある女優を思い出し『サード』『もっとしなやかに、もっとしたたかに』『十八歳、海へ』『処刑遊戯』『トラック野郎 故郷特急便』などをレンタルした。同世代でなくともピンと来るだろうが、目的は森下愛子だ。映画によっては浮いてしまっている作品もあるが(笑)、講義をサボって映画館に通っていた頃を懐かしむ事ができました。ATG関係も、また借りてみよう。

このブログで、一昨年から何度か取り上げていた小津安二郎に触れない訳には行かない。何の事件も起こらない平穏なホームドラマの面を被った、しかし一筋縄では済まない独特な手法の面白さに気付くと、正に“底なし沼”のように抜け出せなくなる。本当に昨年は恵まれた事に、特に“mixiコミュの強者の方々”には、大いにお世話になりました。自分の勉強不足を痛感したこともあり、より客観的に小津作品を観られるように、最近は少しだけ“小津断ち期間”を作っています。

そして、今のマイブームは「丹下左膳」と「山中貞雄」。昨年末から思いっ切りハマっております。丹下左膳は6本鑑賞。山中貞雄は、左膳の『百萬兩の壺』と『河内山宗俊』を観た。しかし現存する山中作品は、あと1本だけ。余りにも早く逝き過ぎた奇跡の天才を今まで知らなかった事もショック。時代劇というより、いわゆる“チャンバラ映画”と思い込んで、なんとなく敬遠して後回しになっていた作品群。今さらながら、自分の“偏食”ぶりに気付かされたのだった。
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by quampaney | 2011-01-18 22:31 | その他 | Comments(4)
Commented by KEI at 2011-01-19 00:27 x
遅ればせながら(笑)、
あけましておめでとうございます。でしょうか?

久々の日記はどどどっと駆けてますね。
小津絶ち中なんですか?寂しいですね。
一刻も早い復活を。

山中貞雄監督の『百萬兩の壺』は奇遇にも、私も昨年初めて観ました。
私も新鮮な驚きでした。

今年もよろしくお願いいたします。


Commented by quampaney at 2011-01-19 09:21
KEIさん、どうもです。
ちょうどブログの下書きをしていた時に、某氏の日記を読んでおり
何というタイミングだと思いました(笑)
おぉ!山中貞雄の『百萬兩の壺』ご覧になられましたか。
トーキー初期に、あれほど非の打ち所のない完璧な作品を
作ってしまった26歳って、あまりにも驚きですね。
Commented by テネンバウムス at 2011-01-20 05:54 x
未だ見ていない旧作映画は新作と同じである、と思いながら旧作を見るのが良いと思います。山中貞雄、いいですね。3本しか作品が現存しないのは不幸なのか幸福なのか、でも3本見てしまうともっと見たいと欲が出ますが、こればかりはタイムマシンを発明しなきゃ無理です。『人情紙風船』を見ると、不況の現在とダブって、求職中の人は見につまされるでしょう。山中が生きていたらその後にどんな映画を作ったのだろうかと思わずにはいられない映画でもあります。
Commented by quampaney at 2011-01-20 10:00
テネンバウムスさん
ついに昨年は新作を1本も観ませんでした(笑)
観た中で最も新しい作品は『Dr.パルナサスの鏡』でしたが
最も新しく感じたのが山中作品。
新作(笑)『人情紙風船』が楽しみです。