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『The 21st Century Guide to King Crimson
(真・紅伝説~21世紀のキング・クリムゾン・ガイド)Volume Two 1981-2003』
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Disc 1,Track 14「Form No.1」
Robert Fripp, Adrian Belew, Pat Mastelotto, Tony Levin:2004年
※String Arrangement & Co-Production by The Vicar
2003年『The Power to Believe』のリリース&ツアーの後、その年の終わり頃にトレイ・ガンが脱退。そして『The ConstruKction Of Light(2000年)』から不参加だったトニー・レヴィンが、予定通り翌2004年に復帰した。結果的にメンバーが入れ替わる形となり、フリップ+ブリュー+マステロット+レヴィンという『Lineup #7』と呼ばれる編成となった。このラインナップでの録音は、現在のところ2曲のスタジオ録音しか発表されていない。そのうちの1曲が、4枚組ベスト・アルバム『The 21st Century Guide to King Crimson/Volume Two 1981-2003』に“こっそり”と収録されているのを知った。それが「Form No.1」という曲で、この“1曲”を聴くためにこのアルバムを購入(^_^;)。4枚のうち'80年代のスタジオ録音を収めた1枚目の「Bonus Tracks:1982-2004」に収められているので「Form No.1」は2004年のレコーディングという事が分かる。ギャヴィン・ハリソンが加わって5人編成になるのは2008年だから、レヴィン復帰後、間もない頃の録音だ。
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実は、この曲については一言コメントくらいでスルーするつもりだった。初めて耳にする“新曲”だったが、ワン・コードの肩慣らしセッションをコンパクトにまとめた程度の様にしか聴こえず、特に何か書いておこうという気にならなかったのだ。だから、前の記事にも、この曲について触れるような告知はしなかったし、ブログの下書きを兼ねたメモにも、こう書いてある。「レヴィンの堅実なベース・ラインがキモ。だが何の変哲もなさそうで、面白さが分からない。ひょっとすると、何かトリックが隠されているのか?」ギターらしい音は聴かれず、音源にはバイオリンなどストリングス系の音色のみ。♩=135くらいの軽快(笑)なテンポながらBGM一歩手前といった曲。しかしクリムゾンのこと、“何か”が仕組んであってもおかしくないはず。…という訳で、いつものように拍子を数える事から始めてみた。

ノーマルな四拍子(8/8)の曲だろうと思い込んでいたが、ちゃんと聴いてみると、そもそも曲の頭がどこなのか迷う。仮に四拍子だとしたら、最初の1拍”が余分なので「弱起」の曲なのかも知れないと考えた。静かなストリングスに導かれて始まるベースとドラムの第一音。ハイハットのアクセント(白の△マーク/必ずしもハットの位置ではない)をバック・ビートの位置と捉えて「2、4…」と聞くのが自然だと思った。
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ところが、すぐにハイハットが裏返る。かと思うと、9/8拍子を挟んで元通りのアクセントに戻る。やっぱり、お得意のトリックがあった。ベース・ラインも、どう聞いても変拍子が何度か登場する。特に耳に残るのは、曲の節目で出てくる5/8を交えたフレーズだ。
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節目に入るフィルイン的なメロディなんだが、この入り方がクセもの。という訳で、「弱起」の曲ではなく、素直にベースの区切り通り「9/8+8/8+9/8+7/8」というイントロと考えた方がスッキリするので、↓このように直してみた。
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う〜ん、どうもベース・ラインの途中で1拍目が来るのも不自然だ。休符を含めて8拍+3拍(テーマが被る場合は8拍+2拍)と考えた方が分かりやすい。b0183304_20375032.jpg
曲の後半で、控え目ながらタムが入るなど少し変化を見せた後、ベースのフィルインを意識したような5/8拍子をマステロットが叩き始める。それに反応するようにレヴィンのフレーズも次第に5拍子を絡めるように聞こえてくる。あれ?本当にそういうフレーズなのか。ヘッドフォンでヴォリュームを上げて聴くと、今まで気づかなかった音が鳴っていた!ドラムとベース、ヴァイオリン(ギター)2本以外に、延々と5/8拍子を奏でる音があったのだ。ヴァイオリンか生ギターをポロンと鳴らしたような音が左右のチャンネルに分かれて聴こえる。2台で弾いているのか1台で弾いたリフをLRに振り分けているのか、はたまた手弾きなのか打ち込みなのか分からない。このシーケンサー的なリフが、ストリングスのイントロに続くベースとドラムの第一音と同時に始まって、エンディング・テーマのぴったり直前まで続いていたのだ。
5/8のリフを描き足して最初から修正。

1.
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やっぱり「5/8」が鍵だったのだ。この音に気づいてからはイージー・リスニング/BGM的だと思っていた「Form No.1」が、全く違う曲に聴こえて来た。織物のように繊細でトランス効果さえ感じる。ポリリズムではあるが、'80年代の「Discipline」や「Waiting Man」などのように“ポリリズムそのもの”を楽しむ曲とは違う。このシーケンシャルなリフは、音色と音量バランスのせいで、ソロの掛け合いやテーマなどでは埋もれてしまっている部分が多い。もう少し全面に出していたら、また違うイメージの曲になっていただろう。

2.
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ハイハット中心の静かでシンプルなドラミングを基調に、フリップとブリューはピチカート音を交えたヴァイオリンの音色でソロの掛け合いをする。ゴリゴリと力強くピック弾きされるベースだけが、かろうじて攻撃性を感じさせる。7/8の後、再びテーマに戻るとイントロと同じようにアクセントが頭(奇数拍)に入る。テーマの2周目頭はベースのフィルインの最後と重なる(※マーク)。クラッシュ・シンバル(下向きの▽マーク)も、小節の1拍目の時と2拍目の時があるし、レヴィンのフィルインの直後に入るとも限らない。

3.
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タムが入るパターンの後に来る、スネアを含めた5/8拍子のドラム・パターンはベース・ラインを意識しているというよりバックで鳴り続けているリフに合わせていたのだった。ここで初めてスネアが聞かれる。このドラム・パターンとベース・ラインの絡み合いが心地良い。それぞれの楽器に神経を集中させるとシンプルなのに、アンサンブルとして聴くとベースも5/8フレーズを弾いているような錯覚に陥る。ヴァイオリンのピチカートも、このパートでは必然性を感じるし、5/8のシーケンシャル・リフとドラム・パターンは、ここではユニゾンでなければいけないのだ。
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前記事の「Message 22」と同じく「Form No.1」もギターの音色で損をしていると思う。「Elektrik」で聴かせたギター2本でのフルート・アンサンブルを、脱メタル路線で試してみたのだろうか。しかし、第一印象がイージー・リスニング/BGMに聴こえてしまっては勿体ない。気が付きにくい所に凝り過ぎて大局を見失っているように思う。

2003年、トレイ・ガン(Warr Guitar)在籍時。
日本公演での「Elektrik」。しかし衣装がヒドすぎる(>_<)

・・・どうも食い足りないとうか、不満が残る。
悪くはないんだけど、色々と中途半端。

『Power to Believe』からの曲だったら、これだなぁ…。
ステテコ姿ながら(苦笑)、エイドリアン・ブリューのソロが凄まじい!


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 King Crimson:隠れた名曲「Message 22」
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※『The 21st Century Guide to King Crimson/Volume Two 1981-2003』全体については、
 以下のサイトに丁寧な詳細記事が書かれています。
 >>King Crimson Data Base
 >>Fractalism
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『Power to Believe Tour Box』
b0183304_21503235.jpgTrack 10「Message 22」
Robert Fripp, Adrian Belew, Trey Gunn, Pat Mastelotto
※Recorded at Studio Belew,11th March 2002
 Assembled by Pat Mastelotto and David Singleton
これは2003年のPower to Believeツアー時に会場で売っていたアルバムで、ツアー・ボックスといっても、1枚のCDと20ページの英語版ブックレットがDVDトール・ケースに入ったもの。コンサートのパンフ代わりとしてのCDで、実際まとまった“曲”といえるトラックはほとんどなく、『パワー・トゥ・ビリーヴ』(以下PTB)の制作過程で完成には至らなかったデモ音源やセッション、インタビュー等が収められている。その中で、ちょっと気になった未発表曲「Message 22」は、'80年代クリムゾンのようなリフを用いた曲。ただしリフは、琴か三味線の様な(以下“邦楽弦”と表記)音色で演奏されているのが特徴で、人によっては違和感を感じるだろう。'80年代といえば、ビル・ブラッフォードの左足側に置かれたシモンズのバスドラで鳴らしていた「チンッ!」と鳴るペダル・ハイハットの代用音があるが、これに似せた音を、2002年のレコーディングで使われていた事は個人的にツボだった。
CDケースの裏ジャケットに「Message 22」について“Assembled by Pat Mastelotto and David Singleton”とある。編集の痕跡は多いが、ProjeKct Xやbpm&m(またはProjeKct3,4)等とは随分と毛色が違う。David Singleton(デイヴィッド・シングルトン)はクリムゾンやProjeKct関連等のレコーディング・エンジアニアという以外よく知らないが、ProjeKct系がセッションの“断片”を編集して曲として構成したものだとしたら、この「Message 22」は、もともと“曲”として形になっていたものを、雰囲気を大きく変えずに加工・編集し直したように思える。拍子が目紛しく変わるのは面白いが、8分音符が1個だけぶら下がっていたり等、あからさまな切り貼りは評価が分かれるところだろう。しかし、よく聴くと“素材”そのものはインプロやジャムでなく、あらかじめ作曲されている音源のようで、完成度は決して低くない。何らかの事情でPTBには収まる場所がなかった曲を、ただお蔵入りさせるは勿体ないと思ったパット・マステロットが「どうせなら!」…と、やりたい放題・好きなように加工した実験作なのかも知れない。聴き始めの頃は、つかみ所のない曲だと思っていたが、変拍子などを数えたりして探っていくうちに少しずつ面白くなり、今では“かなり”お気に入りの曲となった。

※収録内容については、以下のサイトに詳しく載っています。
>>King Crimson Data Base
>>Fractalism
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え〜、ここでまずお断りして予防線を張っておきますが…
私は譜面や音符が苦手です…(^_^;)
もっと言うと、そもそも「1拍」とか「1小節」の意味がよく分かっておりません。
だから、しょっちゅう「エイトビートの1小節は4拍だっけ?」となるし、
“早いテンポの8分音符”と“遅いテンポの16分音符”の区別が付かない時もあります。
あ"ーーーーっ(>_<)、こういう事を考えているだけで頭が痛くなる。
だいたい譜面を見ても、音やリズムがイメージ出来ません。

・・・という訳で、リズム譜とさえ言えないけど、拍子などの構成を自分なりに“図面”にしてみました。ですから、たとえば「8/4」という表記も、「4/4」ではスッキリしない1ブロック(たぶん2小節)のつもり。特に編集段階での人工的な操作が加えられている箇所は、リズムの頭が分かり辛く、そういう所は“数えやすい楽器”を頼りにしました。よって実際にはポリリズムになっている事をスルーしている可能性もあります(+_+)が、全体の“音の長さ”は図面の通りのはずです。

さて、「Message 22」は、こんな感じです…

1.
イントロは、明らかに編集された6/4拍子の邦楽弦リフ。3回繰り返した後は4拍子(表記は8/4)に変わりフィルイン。元はこの拍子で演奏されていたと思われる。そしてPTBでも聞かれたエイドリアン・ブリューの加工されたヴォイスが入る。この曲はヴォーカル・パートが少ない上に全てが電子的に加工された声。しかも大半は歌詞がない。シモンズ風ペダル・ハイハット(図面では△マーク/以下“CH音”と表記)は、イントロでは奇数拍オモテ、その後は偶数拍のウラに変わる。ヴォーカル・パート前半では再び奇数拍のオモテに戻るが後半では偶数拍のオモテ、そして偶数拍のウラ…と変化。そして、リズム・パターンが裏返る奇妙なパートに入る。
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2.
バスドラ(茶色の丸/“キック”と書いた方が通じる?)が1拍・3拍の裏、スネア(緑)が2拍・4拍の裏という具合に半拍ずれて裏返ったパートから、3/8を経てミニマル・リフの7/4拍子になる。このあたりなども最初は気持ち悪く感じるが、分かると快感。ここからのリフは邦楽弦ではなく普通にギターの音。7/4の始め4拍は“裏返ったノリ”を引き継ぐが、後半3拍から“比較的”ノーマルな7拍子に。アクセントをずらしたパターンが気持ちいい。“裏返ったノリ”と“アクセントをずらした”ノリの違いは実際に聴かないと分からない(笑)。と言いながら、7拍子の2小節目以降はトレイの弾くWarr Guitarのアタックのせいでバスドラの位置が不明(´・ω・`) 。CH音は前パートの偶数拍ウラ打ちを継続し、その後3/8が入るので7拍子リフからは1小節毎に奇数拍と偶数拍が入れ替わる。ブラッフォードも好んで演っていたパターンだ。4小節目では6拍子になる。
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3.
次のヴォーカル・パートでは、前の7/4〜6/4と同じペースでCH音が打ち続けられるので、10/4と次の8/4までは偶数拍のオモテ。途中から奇数拍の裏になり、その後ベース(Warr Guitar)と邦楽弦(フリップのサンプリング・ギター)のパートでは不規則に。クリーム色の丸はCH音に似たヴィブラフォン系のパーカッション。Warr Guitarのメロディーを中心に何となく当てはまりそうな拍子を数えたが、他の演奏とポリリズムになっている可能性もある。だとしたら、完全にお手上げ/(^o^)\
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4.
最も分かりにくく数えにくいパート。ここからCH音は奇数拍のウラで10拍、その後は偶数拍のウラを打つ。最後に8分音符1個が余分にあるため、4拍子のパートからは奇数拍のオモテ。そこからの刻みはリズムの頭だろう(…と思いたい)。ヴォーカルが終わり、抽象的なブリューのギター・ソロが静かに始まる。最後が9拍子で次のパートのリフにスムーズに繋がる。
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5.
前のパートから続くCH音を、偶数拍のオモテでキープしながらの4拍子に、REDの中間部のような9/8と6/8が組み合わされたギターとベース(Warr Guitar)のリフが乗っかる。4拍子24小節(8/4で12小節?)で収めるクリムゾンらしいポリリズムだが、ラテン系パーカッションの音色も使われている。
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6.
静かなパートの最後、4/4の2拍目でCH音は終了。3/8という半端な拍を挟んで、いよいよ後半戦突入のフィルイン。
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7.
フリップの邦楽弦リフと、同じくフリップのヴォリューム・ペダルを使った(?)バッキングに、ブリューのギターがウネウネと絡む。ここは4拍子だけで進行する唯一のパート(笑)
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8.
ブリューのフレーズがメロディアスになり、途中からベース(Warr Guitar)と共に変拍子を交える。
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9.
最後のヴォーカル・パート。後半はターン・テーブルのプレイのようなギクシャクした編集パート。
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10.
最終章は、緊張感溢れる3連を交えた邦楽弦のフレーズの後、ベース(Warr Guitar)が先導する変拍子パートがあり、ラストは5連と6連を交えたフレーズで決めて終了。
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これを読むと凄く長い曲のように思えるかも知れないが、わずか5分23秒のコンパクトな曲です。

やっぱり、琴や三味線のような邦楽器の音源を使った事で随分とイメージ的に損をしているように思う。上記サイトFractalismにも書かれているように、どうしてもチープに聞こえてしまうのだ。普通にロックなギターにしていれば、すんなりとPTBのアルバムに馴染んで無事に収録されたかもしれない。アルバム全体の収録時間も50分ちょっとしかないし…
b0183304_2158273.jpg■King Crimson
『The Power To Believe(2003年)』


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昨年末、遂にロバート・フリップが引退をほのめかした。
>>Robert Fripp's Diary:2010年12月4日
___Speaking in the dressing room afterwards to John Schaefer & the Power Person responsible for the programming here: this evening’s performance is the last for me in the conventional role of a professional player.___
ヤフーの掲示板によれば、通常の意味でのプロ・ミュージシャンとしての演奏活動を止め、今後はギター・クラフトの作曲・指導やサウンドスケープなどの活動に絞るようだ。しかも、それ以前に“今後ツアー活動は行わない”という宣言をしていたそうで、既にクリムゾンの活動再開の可能性は限りなくゼロだったわけだ。

b0183304_22355847.jpg■ロバート・フリップ
『At the End of Time: Churchscapes』

イングランドとエストニアの教会での
“奉納”ライヴ
どうやら、プロ・ミュージシャンとして最後に世に出る活動成果は、Jakszyk, Fripp & Collins名義のアルバム『A Scarcity of Miracles』になりそうで、今年5月頃リリース予定とのこと。これは以前の記事の追記で“早トチリ”と書いたユニットだが、実際にはこれを『ProjeKct Seven』として活動したかったようです。
>>Robert Fripp's Diary:2010年12月5日
しかし、何故Seven(7)? ProjeKct1〜4の後のProjeKct Xbpm&mを5と6という具合に数えているんだろうか。
※追記(2月3日)
「ProjeKct Six」の存在を『King Crimson Data Base』で知りました。
ロバート・フリップとエイドリアン・ブリューのユニットだそうです。
ギター・デュオではなく、ブリューはProjeKct Twoと同じくV-Drum担当。
>>http://www21.ocn.ne.jp/~crimson/dgmlive1111.htm
>>http://www21.ocn.ne.jp/~crimson/projekct.htm

b0183304_22364486.jpg■ProjeKct X
『ヘヴン&アース』

Robert Fripp, Adrian Belew, Trey Gunn, Pat Mastelotto
Produced and mixed by Pat Mastelotto and Bill Munyon

b0183304_22371027.jpg■bpm&m
『XtraKcts & ArtifaKcts』

Robert Fripp, Adrian Belew, Trey Gunn, Pat Mastelotto
& David Singleton, David Byrne, League of Crafty Guitarists...
Produced, recorded, engineered, and edited by
Pat Mastelotto and Bill Munyon

これを機会に、クリムゾンの正規アルバムとしては最後になるであろう『ザ・パワー・トゥ・ビリーヴ』以降に発表された曲の中でも個人的に気になる2曲「Message 22」「Form No. 2 KCVII」、それと5ヶ月ほど前に予告したきり放置していた『LIVE 2008(August 07,2008)』等について書いてみることにします。(ただ今準備中)

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大好きなキング・クリムゾン、なかなか前線に復帰してくれない。前回2003年の来日から随分経ち、私もすっかり情報に疎くなってしまっていた。翌年、トレイ・ガンが抜け、スケジュール多忙のためメンバーでありながら休止状態だったトニー・レヴィンが復帰した事は知っていた。『レッド(1974年)』の後や『スリー・オブ・ア・パーフェクト・ペア(1984年)』の後の解散とも、ダブル・トリオ後の一時的なプロジェクトへの移行とビル・ブラッフォードの脱退による空白期とは違い、活動待ちの状態が続いていた。ところが、クリムゾン結成40周年にあたる2009年にアクシデントがあったらしい。すっかり情報から遠退いていた私は知らなかったのだが、クリムゾンは前年の2008年から、フリップ〜ブリュー〜レヴィン〜マステロットに加え、フリップお気に入りのバンド*Porcupine Tree(ポーキュパイン・ツリー)のドラマー、ギャヴィン・ハリソンを加えた新しい編成で活動を開始しており、ツアーも行っていたのだ。
 *スティーヴン・ウィルソン(K.クリムゾン5.1chのリミックスも担当)が
 元JAPANのリチャード・バルビエリらと組むプログレ〜ヘヴィ・ロック・バンド
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そして、翌2009年の予定を確認するために、エイドリアン・ブリューがフリップにスケジュールをメールした所、クリムゾン40周年の記念すべき活動が予定されていた重要な期間に、どういう訳かブリューのソロ活動がダブル・ブッキングされていた事が判明。フリップは激怒して、何とクリムゾンの活動自体を白紙にしてしまった。その後、ブリュー側は予定の変更を申し出たが、時すでに遅し。フリップは完全に臍を曲げ、クリムゾンの活動そのものに関心を無くしてしまっていた。フリップ曰く「これはカレンダー上の日程の問題ではない。関心を持つこと、意図すること、集中すること、没頭すること、やりとげる意志を持つことの問題なのだ」そうだ。『ライヴ2008』というタイトルでリリースされる予定だったニュー・アルバムも、急遽発売中止となった。※ダウンロードでの購入は可能(追記参照)

※いつもステージでは陰に隠れている“リーダー”フリップ師”だけど
 これでは御姿が客席から見えませんがな(´・ω・`)
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トニー・レヴィンのサイトを辿ってみると、さすが!ちゃんと日記が残っていました。
(我々は、戻ってきたーーーーーっ!!)
仕方なく、久々にブートで音源を探してみた。2008年8月11日ペンシルヴェニア公演が出ていた。(※リンク先はトニーの日記)以下、その演奏をレビューします。オーディエンス録音のため、音質はイマイチで分離も悪いですが、全く体験できないよりは良い(^_^;)

※ギャヴィン・ハリソン(Gavin Harrison)


まずは新ドラマー、ギャヴィン・ハリソンのお披露目も兼ねて「Drum Duo」からスタート。定位がはっきりしないので、二人の区別が難しい。エレドラはマステロット、細かいバスドラはハリソンだろうから、マステロットで始まりハリソンに移行し、最後はエレドラで終わるという流れ。デュオというより、一部重なりながら交互にプレイしたように聴こえた。
そして「コンストラクション・オブ・ライト」に続く。二人のスネアのフレーズをきっちり合わせているのでオリジナルと印象が違う。ドラムレスになる箇所ではトニー・レヴィンが曲に慣れていないせいかタイミングが合わない。ライドのフレーズは2003年の来日公演の時のようにシンプルなまま。続いては何と「ニューロティカ」だ。「コンストラクション…」の原型とも言える『ビート』収録曲。似た曲、しかも難曲を続けて演奏するとは意外な構成。ただ、嬉しい事に“語り”パート後のヴォーカル部分を1コーラス分丸ごとインストで演奏してくれた。この曲は1981年の初来日の時には「マンハッタン」というタイトルでのインスト曲として披露された。ヴォーカルのパートが出来ていなかったのか、それとも難曲のためヴォーカル入りの演奏が出来なかったのか不明だが、初来日公演でのハイライトだった。同メンバーでの2枚目のアルバム『ビート(1982年)』がリリースされると、ヴォーカル曲になってしまってガッカリした覚えがある。歌が乗った事で、演奏の複雑な絡みを楽しむ醍醐味が半減してしまった。カラオケ・ヴァージョンをボーナス・トラックでも何でもいいから出して欲しいとさえ思っていた(笑)。本人達にも自覚があったのか、そういうリクエストがあったのか分からないが、インスト・パートの後にヴォーカルが入るという展開で、これだけでもアルバムを買った意味があった。
続く曲は「レッド」だ。何と濃密な展開のライヴだろう。中間部では、アクセント部分を含め珍しくドラムが音を散りばめる。こういったアレンジは初なのでは?新メンバーであるハリソンのアイデアだろうか。とにかく全体的にブラッフォードの呪縛が解かれたかのような炸裂するツイン・ドラムが心地良い。
雰囲気が一転して「スリー・オブ・ア・パーフェクト・ペア」。原曲ではブラッフォードの“一人ポリリズム”だったのをダブル・トリオ時代にはリズムを分解して二人で叩いていたのが面白かった。今回はそれとは全くリズムを組み替えた新アレンジのドラム・セクション。時折ハリソンの激しいプレイに触発されてか、レヴィンが細かいフレーズで応戦していた。
そして「ダイナソー」に続き「トーキング・ドラム」と来れば「太陽と戦慄パート2」だ。この曲のテンポは、イントロでのフリップに命運が賭かっているのだが(笑)、この時は、ほとんどオリジナルに近いテンポでリフが繰り出された。落ち着きがあって、かつヘヴィ。こんな演奏を生で観たいものだ。
箸休めの「ウォーキング・オン・エアー」に続き、ダブル・トリオ時代のドラム・アンサンブル「B'ブーム」。これは、作曲されたデュオ演奏。
そして、お馴染み「フレーム・バイ・フレーム」に続いて「レヴェル5」。今回はプログラミングを使用していない模様。特殊な音色なのでマステロット自身が人力で叩き、ベーシックなパターンをハリソンが担当しているのか。中間部で、ダブル・トリオ時代「スラック」の途中でよく演奏された“二人での”クラッシュシンバル・ミュートが登場。なかなか効果的な使い方。プロジェクト3〜4の流れを汲んだデジタルな曲が、ツイン・ドラム向きでライヴな曲として生まれ変わった。
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次の「インディシプリン」は、今回ハリソンがメインなのか。いつも以上にアグレッシヴだが、ギター・ソロのバックでのバスドラム4つ打ちは、ちょっと頂けない。
続いて再びドラム・デュオだが、これは面白い。2台のドラム・キットがテーマとなるアンサンブルを奏でた後、マステロットが導くベーシックなリズムにハリソンが複雑に絡み、曲がポリリズムに膨らんで行く。途中シンバルやベル中心の演奏になったり、エレドラの聴かせ所があったりと二人のドラマーの個性を生かしつつ起伏のある展開を見せ、いつの間にかテーマに戻って終わる。


ほとんど間を置かず「セラ・ハン・ジンジート」が演奏されるが、シンコペーションを生かしたハリソン主導の新しいリズムに置き換わっており新鮮だ。スラップも交えたレヴィンのプレイには、こういったアレンジの方が合っている。
アンコールの後「エレファント・トーク」に続く「ヴルーム」の後半で一時ハーフ・テンポになるという新アレンジがあった。同曲のエンディングである「コーダ:マリーン475」で終了。

演奏内容は非常に充実したライヴだと思った。ダブル・トリオ期に最も近いが、完成度はそれ以上。ダブル・トリオ期のツイン・ドラムのアンサンブルは、ブラッフォードが“主”でマステロットが“従”という関係だったが、今回はほぼ対等の関係に聴こえた。先天的なテクニシャンというより努力家でアイデア・マンだったブラッフォードと、彼を崇拝するマステロットもアイデアと創意工夫のミュージシャンだ。ベクトルは同じだが、先輩に対しての遠慮があるように思えた。今回のツイン・ドラムは、先輩であるマステロットが後輩のハリソンの天才的な技術を完全に受け入れて上手くミックスしているようだ。さすが、“Electronic Taps & Buttons”のマステロットだ。
※ちなみに、ビル・ブラッフォードは1949年、パット・マステロットが1955年生まれなので6つ違い。ギャヴィン・ハリソンはマステロットの8つ下で1963年生まれ。

新曲がない状態でのツアーなので、バンドとしてのアイデアやコンセプトはこれからだっただろう。ただ、リズム・セクションの充実振りに比較して、ブリューとフリップの進化が今一つ伺えないのと、なんとなくヴォーカル曲が減ったのが気になる。ノー・アイデアの状態とエイドリアン・ブリューの位置付けという伏線が、すでにあったのかも知れない。

※以下“誤報”(9月7日追記参照)
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ネットでの情報によると、その後のキング・クリムゾン最新のラインナップは
ロバート・フリップ(Robert Fripp)…ギター
ジャッコ・ジャクジク(Jakko Jakszyk)…ギター、ヴォーカル
トニー・レヴィン(Tony Levin)…ベース、チャップマン・スティック
ギャヴィン・ハリソン(Gavin Harrison)…ドラムス
メル・コリンズ(Mel Collins)…サックス、フルート
という編成らしい。一次ソースは不明。
ジャッコは、21st Century Schizoid Bandのフロントを担当。つまりフリップとグレッグ・レイクの“影武者”もこなす器用なミュージシャン。

メル・コリンズは、言わずと知れた70年代のクリムゾンやキャメル等に在籍したベテラン。ひょっとして回帰路線なのか?そういったコンセプトの方向変換があったとしたらエレクトリックなパット・マステロットがクビになったのも分かるが…。
ところが、このメンバーでの新譜が発売中止という話もある。その新作制作の為にアルバム2枚分のデモも出来上がっていたという話もあるが、真偽含め詳細は不明。また、色々と分かり次第まとめてみたいと思う。
それと情報求む。

※追記(9月7日)
ジャッコやメル・コリンズの参加という、唐突で不自然なメンバー・チェンジは、Jakszyk, Fripp & Collins名義で製作中の『A Scarcity of Miracles』というアルバムの情報と混乱していたようです。
>>http://www.elephant-talk.com/discog/fripp/indexr.html
たしかに、Tony LevinとGavin Harrisonの名前も書かれています。
恥ずかし過ぎる早トチリのようでしたm(_ _)m
※後に、『ProjeKct Seven』として活動する予定のユニットだったと判明。
 (Robert Fripp's Diary関連記事を参照)

※追記(9月8日)
『LIVE 2008(August 07,2008 Park West Chicago,Illinois)』はDGM Live!にてダウンロード可能。
>>http://www.dgmlive.com/archive.htm?artist=16&show=1301

※追記(9月9日)
ダウンロードして『August 07,2008』を聴いてみた。
分離の良い正規音源なので、レビューに見当違いな箇所があった事が分かった。
(例:「コンストラクション〜」…のスネアのフレーズをきっちり合わせている…等)
近いうちに『LIVE 2008(August 07,2008)』の記事を考えています。

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 King Crimson:隠れた名曲「Message 22」
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b0183304_2362521.jpg5月16日、偉大なるロック・ヴォーカリストRonnie James Dio(ロニー・ジェイムス・ディオ)が亡くなった。享年67。あと二か月程で68歳だった。学生時代からのバンド仲間のブログで知った。ショックだったし、なにしろ驚いた。最近になって、2005年のライブDVD『HOLY DIVER LIVE』で、ロニーの健在ぶりを見ていたからだ。死因は胃癌だということで、さすがの鉄人も病魔には勝てなかったのか。
ブリティッシュHR/HMのヴォーカリストというイメージが強いが、意外にもアメリカ人。本名はRonald James Padavonaといい、トニー・ベネットやフランク・シナトラ、ディーン・マーチン等(あえて、こういう人を挙げた)と同じくイタリア系。有名になったのは70年代半ばからだが、同時期に活躍したロッカー達よりも年上。
>>Wikipedia
学生だった1957年にバンド活動を始める(ヴォーカリストとベーシスト兼任)。1962年には「ロニー・ディオ・アンド・ザ・プロフェッツ」というバンドでプロ活動を開始している事から、音楽歴ではザ・ビートルズと肩を並べるヴェテランである。

実際、ポール・マッカートニーと同い年でミック・ジャガーより2つ上だ。リッチー・ブラックモア率いるレインボーで名をなした後、まさかのブラック・サバスに加入。そして1980年にリリースしたアルバム『ヘヴン&ヘル』は名盤だ。意外(異質)な組み合わせだと思えたが、ソリッドなレインボーよりも“しっくり”馴染んで聞こえた。ジャケットもいい。この年、ロニーは38歳。
ブラック・サバス/ヘヴン&ヘル 【CD】

この1980年当時、同時代に活躍したロッカー達の年齢は、イアン・ギランとリッチー・ブラックモアが同じ1945年生まれで35歳、オジー・オズボーンとロバート・プラントは1948年生まれで32歳。グラハム・ボネット(1947年生)33歳。そしてデイヴィッド・カヴァーデイルとジョー・リン・ターナーは同じ1951年生まれで29歳。ロニーより10歳下だ。以前にもブログで年齢を話題にしたことがあるアンディ・サマーズもロニーと同じ1942年生まれなので「ドゥドゥドゥ・デ・ダダダ」当時は、すでに38歳。
ロニー周辺の音楽を聴いていたのは、ブラック・サバスとしての2枚目のアルバム『Mob Rules』くらいまでで、次第にハード・ロック系のレコードは買わなくなってしまった。その後は、バンドの練習やライヴに備えて“カセット・テープ”で聴くくらいだったので、今でも手持ちのCDにロック系のアルバムは少ない。
そんな訳で、サバス後のロニーの活動については詳しくない。ところが2年程前、突然ハード・ロック(HR/HM)からスタンダード・ヴォーカルまで、気になるシンガーを聴きまくり、CDやDVDを集めまくっていた時期があった。その頃のお気に入りの一つが、最初に書いたDIOの『HOLY DIVER LIVE』だった。四半世紀ぶりに再会したロニー・ジェイムス・ディオは、すでに還暦を越えているにもかかわらず現役バリバリだった。さすがに全盛期と比べれば声質は枯れ、曲のキーも下げてはいるが、相変わらずのパワフルで安定したパフォーマンスは驚異。つくづく“生”のロニーが観られなかったのが残念だ。
ロニー・ジェイムス・ディオ、63歳の勇姿!

客席から乱入したファンへの対応ぶりが面白い。突然の出来事に思わず見せた“素”のディオ。YouTubeの映像では少し見づらいのが残念だが、バンドのメンバーも誰一人として動揺していないのが凄い(笑) ヘヴィ&ダークな音楽性やヴィジュアル・イメージとは対照的に、時おり見せる“お茶目なおじちゃん”ぶりが可愛い。
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還暦過ぎにして、このパワフルな現役ぶりだから、全盛期ともなれば並大抵ではない。レインボー時代の『Live in Munich 1977』でのロニーは、もはや神懸かり的。35歳、驚異のスーパー・ヴォイス!

特にギター・ソロ後(6'10"〜あたりから)は、まるで後光が差しているようだ。いや、自ら発光してるようにさえ見える。この人の発声の一番の特徴(特技)は、低音から超高音まで同じような声質を保てる事だ。だから、コピー・バンドで歌ってみて、キーのあまりの高さにビックリ、という事が多い。このロング・トーンを調べてみたら何とHiC#!ちなみに、まだこの頃は「メロイック・サイン」やってませんが、その原型のようなポーズがニョキニョキと芽を出しています(笑)
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故コージー・パウエルのドラミングも凄まじいです。今頃は「よぉっ!待ってたぜ」てな言葉を交わして、一緒にセッションでもしてるかも。
先週ロニーが亡くなってから、この2本のDVD(というか、この2曲)を寝る前に観るのが日課のようになっていました(笑)。しかも曲が終わると、また最初から聴き直してウィスキーを継ぎ足す時も。。。時に好きな2曲が、どちらも演歌っぽい曲調なのは偶然ではないだろう。以前から、ロニーの歌い方はトム・ジョーンズ的だったり北島三郎っぽいと思っていたが、訃報を知ってからネットを廻ってみたら「ヘヴィメタ界のサブちゃん」というのが、あちこちで見られて笑ってしまった。みんな同じ事を考えているんだな。

トム・ジョーンズのデビュー曲「Chills and Fever」
途中でレインボーの「Do You Close Your Eyes」に似た所が出て来ます(笑)
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前から気になっていたROVOのライヴに行って来た。ROVOという日本の“プログレッシヴな”バンドに興味を持つきっかけは、まず一昨年の秋に観たオルケスタ・ナッジ!ナッジ!(*詳しいライブ・レビューにトラックバック)の衝撃。リーダーの芳垣安洋の他、岡部洋一を含む“総勢11名の打楽器集団”だ。
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そして、ちょうどその頃によく聴いていた“アルゼンチン音響派”のセッション・アルバムを仕切った2人の日本人、勝井祐二と山本精一。この芳垣+岡部+勝井+山本の4人が在籍するROVOというバンドがあるという。さっそくアルバムを買ってみた。『NUOU』という、今のところ最新のアルバム。聴いた感じでは“フュージョン・バンドがトランスっぽいプログレを演奏していいる”という印象だった。TUTAYAで『CONDOR』というアルバムもレンタルした。こちらは、大雑把に例えるならクリムゾンの「トーキング・ドラム」拡張版。これらがライヴでどんな風に演奏されるのか、機会があったら観てたいと思っていた。
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クライアント様の好意でバックステージ・パスをもらって会場に潜入。実際のライブではCDよりも荒々しいプレイでロックなノリだった。アルバムとライヴの差は、ちょうどマイク・スターンのように、ライブでは燃え上がるような演奏なのにアルバムになるとすっきりと小ぎれいに整理されてしまっていたようだ。上に挙げた4人のメンバーの年齢は40代後半〜50代というベテラン・プレイヤーだが、観客の年齢層はたぶん一世代ほど下だろう。クラブに遊びに来ているような雰囲気で身体を揺すりながら2時間半以上パフォーマンスに熱狂的に酔っていた。地味なステージ演出が多いプログレ・バンドのライヴと違って、ROVOのステージはVJがオーディエンスを盛り上げるのに大いに役立っていた。個人的には、映像によってイメージを固定されているようで正直あまり好みではない。演奏者の動きや表情もよく見えない。しかし、この映像効果があってこその熱い“ノリ”なんだろう。たとえば、無名の40代のメンバーがVJなしで同じ演奏をしても同じように“若い”オーディエンスに熱狂的に受けるかどうかは疑問だ。レギュラーでVJを担当する迫田悠という人は、ジャケットのデザインも担当してるという事で、バンド・メンバーではないが、ちょうど初期クリムゾンでのピート・シンフィールド的な役割ですな。あの当時のクリムゾンやソフト・マシーンなど“ニュー・ロック”のコンサートは、昨夜のROVOのライヴのような熱いノリだったんだろうか。いずれにせよ、演奏自体は非常に高度でテクニカルで堪能出来た。ツイン・ドラムならではの“ギクシャク感”はあったが(ただし岡部洋一のセットにはバスドラはない)、フロントのギターとヴァイオリン、キーボードが渾然としながらも一体となってフレーズを徐々に変化させて行くので、ある意味分かりやすい曲進行だ。リズム・セクションの方がフロントよりも複雑というアレンジ。ただしリズムの“頭”とアクセントは、ベース・ラインと相まって“説明的”ともいえる程だ。このあたりも人気の秘密かも知れない。マニアックだけどキャッチーな要素もある。プレゼンテーションというかプロデュースの仕方が上手い。なんせROVOの公式サイトには「唯一無二のダンスミュージックバンド」とあるくらいだ。いったいファン層は、どんな人たちなんだろう。

野外ライヴで、時間がまだ早いのでVJの効果が発揮できていない。が、そのかわり演奏者の様子はよく見えます。

以下、ROVOのメンバーの経歴などを調べてみました。

勝井祐二(el-vl)
http://www.katsuiyuji.com/
1964年生
ボンデージ・フルーツ、渋さ知らズ、カルメンマキ and サラマンドラ等に参加。

山本精一(g)
http://www.japanimprov.com/syamamoto/syamamotoj/
1958年生
ボアダムス、想い出波止場、羅針盤、赤武士、PARA等に参加。

※勝井祐二と山本精一が参加したブエノス・アイレス・セッション
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Vol.#1『Chichipio』
Vol.#2『Izumi』

※ちなみに参加メンバーのフェルナンド・カブサッキというギタリストは、ロバート・フリップ主宰のギター・ワークショップでインストラクターもやっていた人。


芳垣安洋(ds,per)
http://y-yoshigaki.com/schedule.html
1959生
アルタード・ステイツ、モダン・チョキチョキズ、大友良英グラウンド・ゼロ、渋さ知らズ、菊地成孔デイト・コース・ペンタゴン・ロイヤル・ガーデン、オルケスタ・ナッジ!ナッジ!等に参加。
渋谷毅、板橋文夫、早坂沙知、COBA、ホッピー神山、カヒミ・カリィ、ジョン・ゾーン等のバックを務める。
また、蜷川幸雄「マクベス」などの音楽を担当。

岡部洋一(per,ds)
http://donna-oto.com/okabe/
1962年生
ボンデージ・フルーツ、ザ・スリル、オルケスタ・ナッジ!ナッジ!等に参加。
大貫妙子、向井繁春、小野リサ、溝口肇、角松敏生等のバックを務める。
※インタビュー
>>http://www.drumsize.com/2007/04/_8april2007.html
※芳垣安洋と岡部洋一が参加した「オルケスタ・ナッジ!ナッジ!」のアルバム
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『BATUKA!
『Rhythm CHANT』


益子樹(key)
http://www.youtube.com/watch?v=q5BTkZVnBuc
DUB SQUAD、ASLN等に参加。
スーパーカーなどのプロデューサーとしても活躍

原田仁(b)
http://spysee.jp/%E5%8E%9F%E7%94%B0%E4%BB%81/1104021/network/a/
デフォルメ、キックス等に参加。
ディジュリドゥ奏者としても海外でも活躍。
※ディジュリドゥ(Didgeridoo/Didjeridu)>>http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%B8%E3%83%A5%E3%83%AA%E3%83%89%E3%82%A5

迫田悠(VJ)
グラフィック・デザイナー、映像作家。
http://sakotaharuka.blog38.fc2.com/

※十数年前、ジャズ・バーのマスターに聴かされて衝撃を受けた『アルタード・ステイツ』(芳垣安洋が参加)。さっそく買って、知り合いにも貸して聴かせた。そのCDを貸した相手は、その後“行方知らズ”になって(´・ω・`)、もう聴けない…。アルバム再発を超希望!…と思ったらYouTubeに最近のライヴの模様が!まだ活動はしているのか。(アルバムではメンバー3人の他、ヴァイオリンの勝井氏をはじめ著名なゲストが参加。YouTubeの演奏よりもヘヴィで騒々しく、パーカッショニストの参加もあって音色的にも『太陽と戦慄』のようにハイ・エナジーだった記憶が…。)


b0183304_22402862.jpg『ROVO LIVE at 日比谷野音 2008.05.05 ~MDT FESTIVAL~』

公演後、このDVDを買いました。
整理された音だけより、映像があった方が面白い。
ちょっとハマりそうな気がして来た。
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>>ザ・ナックのフロントマン、ダグ・ファイガーが死去:CDJournal.com ニュース

ザ・ナック(The Knack)というと「マイ・シャローナ」しか知らない。世間的にも“一発屋”だと思われているかも知れない。ところが、ある時フリー・ペーパーのコピーの仕事をしていて、テリー・ボジオについてネットで調べていて『ザ・ナック』の名前が出て来て驚いたことがあった。ボジオは1998年からザ・ナックに参加していたのだ。正式メンバーなのかセッション扱いなのか分らない。あと、Mr. Bigのパット・トーピーが参加していた時期もあったらしい。
>>ザ・ナックLIVEレポ - EMI洋楽スタッフの溜池日記

2006年にはザ・ナックのオリジナルドラマーが死去するというニュースも見た。ブルース・ゲイリーというらしい。ブルース・ゲイリー?どこかで聞いた名前だと思ったら、ジミヘンの『Voodoo Soup』という編集アルバムで“差し替えドラマー”として2曲参加していた人だ。しかもAssoclate Prroducer(製作補)としてクレジットもされている。アラン・ダグラスの補佐をやっていたのだ。
>>PAGE FULL OF JIMI
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ジミ・ヘンドリックス『Voodoo Soup』
※個人的には「Ezy Rider」は、このアルバムのヴァージョンが好き。
 パーカッションが(オリジナルほどは)入っていなくて
 ヴォーカルもすっきりしてます。

調べてみるとボブ・ディラン、ジョージ・ハリソン、スティーブン・スティルス、ロッド・スチュワート、ベット・ミドラー、オノ・ヨーコ、ハリー・ニルソン、アルバート・コリンズ、アルバート・キング、ジョン・リー・フッカー、ランディ・マイズナー、スペンサー・デイヴィス…と名前が出て来た。元々セッション・ドラマーだったのか。

YouTubeで検索してみた。やっぱり上手いよ、ザ・ナック。

>>龍のにわか知識: ザ・ナックのダグ・ファイガー死去!

b0183304_19433789.jpgザ・ナック『ゲット・ザ・ナック』
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>>天才ゆえの葛藤か 加藤和彦さん最後のインタビュー

ずっと「進行形の現役ミュージシャン」という印象があったから驚いた。
鬱病だったということだけど、自分を過小評価するタイプだったんだろうか…。

80年代に、打ち込みライブ・バンドをやっていた事があるのだけど、
メンバーのうち二人が書くオリジナル曲に混じって
2曲だけはカヴァーを演ってました。
それが、これらの曲たち。

サディスティック・ミカ・バンド「Boys & Girls」


同じく「タイムマシンにおねがい」
(こちらの映像も二代目ミカの“桐島かれん”バージョン)

♪お〜ねがいたい!!

加藤和彦さんのご冥福を祈ります。
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最近、『MEDITATION INDIA』というインド古典音楽のアルバムをレンタルして聴いた。タイトル通りなかなか心地良い。同じインドでも地方にもよるのか、シタールのメロディが日本の民謡のようにも聴こえる曲や、箏曲(琴曲)のような音楽もあって、ちょっと意外だった。アルバムの大半は、タブラとかパーカッション類は控え目なトラックが多く、瞑想したい人にはピッタリ。こういうダウナー系の音楽もいいけど、疲れ気味の時に聴くと睡魔に襲われるのは確実で(笑)、そんな時の仕事のBGMとしては厳しいな。丁々発止の楽器バトルや、もっとリズム中心のアッパー系のインド物が聴きたいと思って、店にあったもう1枚のインド物『インド古典パーカッション—超絶のリズム』というCDをレンタルしてきた。パーカッションだけのアルバムらしい。似たようなタイトルで、こちらも全編パーカッションだけの『超絶のインド古典パーカッション』というCDは持っていたけど、こういうアルバムなら一日中でも聴いていられる(笑)。自分にとっては、瞑想効果より覚醒作用があるようだ。
借りてきたCDの裏ジャケを見て「はっ!」と思った。これ、ひょっとして自分が持ってるCDと同じ?もちろんインド語の曲名を覚えているはずはないんだけど「ザキール・フセインのタブラ・デモンストレーション」という曲名(?)タイトルで気づいた。さっそく部屋のCD棚から引っぱり出してきた。やっぱり中身は同じ内容のアルバム(>_<)!
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レンタルしたCDを開けてみたらライナーノーツまで同じだった。
な〜んだ、アルバムの原題はどちらも『Super Percussion of India』だった…。ただでさえ似たタイトルが多いジャンルなんだから、ジャケット・デザインと邦題を変えて違う商品のようにして再発ってのはやめて欲しいな〜。ま、幸いレンタルだったから良しとするか…。だけど、ネットなら分らずに買っちゃうかもだよね。
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※左:『超絶のインド古典パーカッション』
 右:『インド古典パーカッション—超絶のリズム』

余談だけど、ザキール・フセインのWikiでは、Zakirを「ザーキル」とか、SHAKTIを「シャンクティ」とかの誤植がある。一般的ではない表記という事ではなく、明らかに間違い。
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>1971年、名ヴァイブ奏者ゲイリー・バートンのカルテットの
>メンバーとして初来日している。
>>トニー・レヴィン/wikipedia

やっぱり、ジャズ・プレイヤーとしては超久々の来日だった。
なんと38年前!しかもゲイリー・バートンのバック。
L'Image(リマージュ)もヴァイブ奏者マイク・マイニエリがリーダーのバンドで
71年の来日もヴァイヴのゲイリー・バートンとは奇遇だ。

こういう記述もあって笑った。
>ジョン・マクラフリンからマハビシュヌ・オーケストラへの
>参加要請の電話が来たが、電話を受けたのが義母だったため、
>名前を聞き取れずそのままにしてしまった

たしかに「McLaughlin」も「Mahavishnu」も知らないと聞き取れないだろうな。
宗教の勧誘と勘違いしたかも(笑)

ジャズ絡みの話といえば、ジャコ・パストリアス脱退後のウェザー・リポート。
新しいベーシストを探していたジョー・ザヴィヌルに
当時ウェザーのドラマーだったピーター・アースキンが紹介したのが
トニー・レヴィンだったそうだ。
きっと、渡辺香津美の『TO CHI KA』のレコーディングで共演した時に
レヴィンの弾くフレットレス・ベースが気に入ったのだろう。
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結局、あちこちから声が掛かっていたレヴィンは
まさかのキング・クリムゾンに参加することになった。

[追記]
 Tony Levin's Road Diary
 レヴィン本人による名古屋公演日記(日本語Version)


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