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前の記事で、小津安二郎がアグファ・カラー(Agfa Color)を使っていた理由を
画面のアクセントとして好む「落ち着いた朱(あか)」と
たびたび登場する晴天の「突き抜けたような青」
の両方を表現出来るから…というように書いた。
記事の参考にしたサイトにも
>>❖paperback
 >アメリカのコダック製は(中略)
 >空の色が青過ぎてどうにも気に入らなかったらしく
>>❖小津安二郎のキャメラ番 厚田雄春の世界
 >コダックは空が変に青くなるのでNG
…などとあるが、小津が好む空の「青」という色を
私は“強烈”で“突き抜けたような”晴天ばかりをイメージしていた。
ところが、記事を書いたあとにもう一度『彼岸花(1958年)』を観直してみて
自分の思い込んでいた色と全く違っていたのが分かった。
その「青」は、かなりグレーがかった色で
とてもじゃないが“強烈”な「青」ではない。
こんな「青空」だったのか?と驚いて
全部のカラー作品を早送りして「青空」を探してみることにした。
それで分かった事は、自分がイメージしてでいた小津の「青空」は
箱根のシーンが印象に残る『秋日和(1960年)』での秋空だったのだ。
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>>❖アグファ・カラーの「赤色」—『秋日和』の紅葉と婚礼—
 >他の配色が全般的に地味なものであったから,
 >あるいは,小津が好んだとも言われるアグファの
 >「青」が要所要所に使われていることとの対照性から・・・
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この『秋日和』以外の作品では、ほとんどが“グレーがかった”青。
空自体が薄曇りという訳ではなく、青空の色自体が“くすんだ”発色に見える。
松竹以外の会社で製作した作品もすべてアグファ・カラーであるが
『秋日和』の色調は「青」に限らずが全体的に“濃い”のだ。
もちろんマスタリングの要素とか色々な条件もあるだろうが
なぜか『秋日和』だけが突出した色調だ。

※『秋日和』の中では、唯一ゴルフのシーンだけは空の色が違う…
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〜〜各作品の冒頭シーンを比較してみる〜〜

■『彼岸花(1958年)』松竹/撮影:厚田雄春
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■『お早う(1959年)』松竹/撮影:厚田雄春
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■『浮草(1959年)』大映/撮影:宮川一夫
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■『秋日和(1960年)』松竹/撮影:厚田雄春
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■『小早川家の秋(1961年)』東宝/撮影:中井朝一
※この作品だけは、冒頭シーンが夜景なので
 ラスト近くの火葬場の煙突シーンを選んだ。
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■『秋刀魚の味(1962年)』松竹/撮影:厚田雄春
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6本の作品の中で『秋日和』だけが例外だとすれば
小津の狙っていた「青」は「朱(あか)」と同じく
“くすんだ”「青」だという可能性が高い。

b0183304_9361388.jpg■『秋日和(1960年)』

ところで、この検証をしている時に
もっと重要かも知れない別の「色」について気づいた点があったので
また改めて記事にしてようと思います。

■関連記事
 小津安二郎の「朱(あか)」と「アグファ(Agfa)」
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