『チャップリンの影〜日本人秘書・高野虎市』

b0183304_2153135.jpg発売されたら読もうと思っていた大野裕之さん『チャップリンの影〜日本人秘書・高野虎市』、面白くて一気に読んだ。
ただ大野さんの直筆「サイン本プレゼント」キャンペーンがあったのに、うっかりタイミングを逃してしまって、書店まで買いに行った。告知のメールも届いていたのに… (´・ω・`)

チャップリンの秘書を“日本人”が務めていた、という話は一般的には、まだあまり知られていない。明治生まれのニッポン人が、遥か亜米利加まで行き当時すでに世界的な大スターだったチャップリン氏の秘書の職を得る。しかも大野さんの本によれば、面会した瞬間に採用が決まったそうだ。この「天才との出会いシーン」から一気に惹き込まれた。

最初は運転手としてだったが、全幅の信頼を得て、全財産の管理まで任されるようになったMr.コーノ。実は、ボンボン育ちの不良だったそうだから面白い。世紀の天才は、この野心的なモダン・ボーイと出会った瞬間に「こいつならウマが合う」とインスピレーションを受けたのだろう。
 ※中央に映っているのが、高野虎市(こうの・とらいち)氏
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日本人初のバス運転手だったかも知れない…というエピソードをはじめ、大野さんならではの緻密な調査で興味深い逸話がてんこ盛り。いつもながら“一次ソース”主義に徹し、戸籍や旅券などの書類の検証から当時を知る人々のインタビュー等々、本当に大変な労作だ。日本人移民についてや、戦時下の日本人収容所(彼の広い人脈や時代状況のためスパイ容疑をかけられ長年に渡って苦境に立たされた)の状況にも詳しく触れられ、時代背景に忠実に生々しく描かれる一方で、コーノ氏が面白可笑しく“脚色”した話を元にした『悲劇の王様』という珍本からも翻訳して引用され、飽きさせない構成だ。歴史的な『5.15事件』の標的になったり外れたりと“気紛れな天才”に翻弄されるコーノとテロリスト達。その時間的経緯を含んだいきさつも詳しく知れた。

2000年に出版された『チャップリンのために』に衝撃を受けて以来、大野さん(何と1974年生まれ!!)には注目していたのだけど、
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この驚異的な「アウトテイクスの詳細」を更に具体的にまとめあげた、チャップリン研究史に残るであろう超大作『チャップリン・未公開NGフィルムの全貌』も、ようやく本棚から取り出してページをめくる日が来そうだ…(^_^;)
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大野裕之オフィシャル・ブログ
日本チャップリン協会
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